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おまたせしました。てんてんシリーズの第2弾が完成しました。 今回、新たにゆきまる、ケロキチ、スズの仲間たちが加わりました。 さわり心地もバージョンアップしました。 ひっかくと色んな音がするよ! 大きく表現されている絵は0歳児の赤ちゃんも大好きです! ぜひ、さわってみてほしいな! |
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みてみて、透明インクででこぼこしてるよ。 さわるととっても気持ちがいいんだ。 ●ユニバーサルデザイン絵本は様々な工夫が施されています。 1.フラットなカラーの絵柄に透明の凸を採用しています。イラストが浮き出て感じるので触っても楽しめます。 2.不思議な製本方法。一枚の紙を蛇腹に折って、絵本の形に仕上げられています。金具を使って綴じていないので針金が飛び出て手をケガすることもありません。 3.点字一覧表の表示。これで点字を少しでも身近に感じてもらえることでしょう。語呂合わせのように覚えると面白いです。 |
UD絵本作家 なかつかゆみこ | |
『てんてん』の続編、『ともだち』が出来ました。 表紙には「さく・なかつかゆみこ」と書いてありますが、この絵本は、私の友だちの小林映子さんと一緒に作った絵本です。 じつは一昨年の春、私は自分が子どもの頃から化学物質過敏症という病気であったことを知りました。 どんな病気かというと、化学物質を吸い込んだり食べたりさわったりすると具合が悪くなってしまう病気です。 私は一時期、この病気のせいで、絵の具やペンや紙やパソコンなどをほとんど使うことができなくなりました。 そして絵本の仕事はもうあきらめなくてはいけないんだろうな・・と思っていました。 でも毎日走って体力作りをしたり、なるべく自然に沿った生活をしたり、安全な食事を手作りで作って食べたりしているうちに、2年ほどですいぶん良くなってきたのです。 そんなとき、UD絵本センターの福本さんから、『てんてん』の続編を作りませんか?とお電話を頂きました。 そんなふうに声をかけてもらってほんとにうれしかった・・。 けれど最初、私はほんとうに自分がもう一度絵本を作ることができるのか自信がありませんでした。 でも「できるかどうかわからないけれど、自分にできることがあるならやりたい」とお返事したのでした。 福本さんも私のいろんな事情を聞いた上で、作品作りを待ってくれると言ってくれました。 そうして取り掛かった絵本作りは、正直、とても楽しかったです。 自分でも驚くほどアイデアが次々と浮かんできました。 こんなことはここ数年なかったことでした。 知らず知らずの間に病気が進行していて、仕事が出来なくなっていたのです。 それがいつの間にかまた良くなっていたことを知りました。 けっきょく私は1ヶ月ほどで、てんてんシリーズの絵本5冊分のアイデアを考えることが出来、この仕事をお引き受けすることになりました。 でもそれからが困りました。 これまでずっと切り絵の手法で絵本の原画を作ってきたのです。 今の私には色紙ものりなどの接着剤も使えません。 アイデアだけあっても、絵が描けないのです。 そんな私の原画作りを、パソコンで手伝ってくれたのが最初に書いた小林映子さんです。 彼女はUDえほんセンター設立当時から、一緒にUD絵本作りに取り組んできた仲間です。 一流のデザイナーでもあり、UD絵本の絵本作家でもあります。 私のイメージ通りに原画を作るというやっかいな仕事を、彼女は引き受けてくれました。 『ともだち』の中には、キャラクターのページと、アイテムのページがあります。 キャラクターの絵は私が以前に描いたもので、アイテムは今回、映子さんが描いてくれたものです。 どんなふうに作業を進めて行ったかというと、例えば、まず私が「このページはアイスクリームの絵にしたい」と言います。 アイスクリームはバニラとストロベリーで、コーンはこんな感じの形で、アイスの溶けぐあいはこれぐらいで、色はカラーチャートという色見本を使ってこの色にしてと頼みます。 彼女が作ってくれた案を、私がもっとこうしてほしいとお願いして直してもらう。 この繰り返しを数十回とやりました。 “きっと彼女ももう、うんざりしているだろうな・・”と申し訳なく思いながらも、 良い絵本にするためにはぜったい妥協しないと決めて、最後の最後まで修正を繰り返してもらいました。 それもその仕事はボランティアなのです。 そんなふうにして出来上がったのが今回の絵本『ともだち』です。 映子さんのアイデアや色あいもこの絵本の中には入っていて、私ひとりで作るのとはまた違った味のある可愛い絵本になったと思います。 「ともだち」という題名は、てんてんの仲間たち・・という意味でもあり、友だち2人が力をあわせて作った作品という意味でもあります。 UD絵本を通してたくさんの人が友だちになってくれたらうれしいな・・という願いも込められています。 実は私と映子さんはこの作品を作り始めた頃、UD絵本の仲間ではありましたが、友だちというほどには親しくしていたわけではありませんでした。 でも、今回のUD絵本作りを通して、ほんとの友だちになることができました。 私はそのことがとってもうれしかったし、そういう出来事もUD絵本っぽいな・・と思っています。 てんてんシリーズはこのあと、各キャラクターごとに一冊ずつ絵本を作ることになると思います。 次の絵本がいつになるかわかりませんが、そのころには私はまた自分で絵を描くことが出来るようになっているんじゃないかと思っています。 以前のように徹夜して絵を描いたり、無理してやることができなくなったので、コツコツコツコツ作り続けていくつもりです。 今はてんてんの友だち、スズやケロキチの絵本の下絵を、紙にえんぴつで描いています。 どうぞ楽しみにしていてくださいね。 自分になにかできることがある・・ってほんとに素晴らしいことです。 それがどんなにちっぽけなことでも・・。 それがどんなに普通に思えることでも・・。 病気でもうずっと社会とはかけ離れたところで、ひとりぽっちで生きていくのかなと思っていた私が、また希望を持って仕事をはじめさせてもらうことができました。 ほんとうに感謝しています。 現在は私の病気もさらに良くなってきていて、普通に生活を送れるようになってきています。 ご心配をおかけしてしまっていたらごめんなさい。 でももう大丈夫だから心配しないでくださいね! どうぞこの絵本を、たくさんの子どもたちが楽しんでくれますように・・! 読者のみなさま、UDえほんセンターのみなさま、そして小林映子さんへ、心からの感謝をこめて。 |